王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
ラナがそう言うと、エドワードは唇を噛み締め、しばらくぼんやりと天井を見つめていた。
それからコロンと寝返りを打ってラナのほうに身体を向けると、彼女の頭の上に顎をのせて呟く。
「ありがとう」
ラナはそれを、とても満ち足りた気分で聞いた。
(これは私とハサン様と、ふたりで半分にするべき言葉ね)
エドワードはきっと、自分のために命を賭したハサンに、礼など言ったことがなかったのではないだろうか。
これでようやく天国のハサンも満足してくれるだろう。
「あっ、そうだ」
エドワードが突然思い出したように声を上げ、身体を起こしてベッドに肘をついた。
キョトンとするラナを見下ろし、ムスッとして片眉を上げる。
「お前、俺がデイジーを愛人にすると思っているんだって? 誰に吹き込まれたのか知らないが、もう少し夫を信頼してくれないか。俺は愛人などとらない」
ラナにはどうしてエドワードが拗ねるのかわからなくて、首を傾げて訊ねた。
「けれど、公妾は王室にとって必要なものだと聞きました。殿下がキャンベルにこだわっていらっしゃるので、私はてっきりデイジー様を公妾に置かれるつもりなのかと」
「いらん、いらん。俺はただお前を手に入れるだけでも苦労しているのに、その上愛人だなどとややこしくしないでくれ。俺がわざわざお前の気を逸らすような真似をするか」
それからエドワードは鼻の頭に皺を寄せ、不本意そうに、けれどとても真剣にラナの目を見つめて続けた。