王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
「いいか、女に言い訳をするのはこれが初めてだから、口が下手なのは勘弁してくれ。デイジーはハサンの妹で、俺がキャンベルにこだわるのはここが奴の故郷だからだ。死んだ友が守るはずだった土地と民を、俺は責任を持って守りたい。ただそれだけのことだ」
ハサンが存命であったなら、初老のキャンベル辺境伯に代わってこの騒動を落ち着けようと動いていただろう。
獣の扱いに慣れた彼だから、エドワードやライアンよりうまく対処していたかもしれない。
「そう、なのですか」
ラナは呆気に取られて瞬きをし、ホッと息を吐いた。
もしもエドワードが愛人としてデイジーを望んで選ぶのなら、ラナは彼女と仲良くするのはとても大変なことだと思っていたが、彼の友人の妹だというのならば、あの美しい令嬢とも親しくなれるだろうか。
とにかくエドワードが公妾はいらないと言ってくれたので、嬉しくなって頬を緩める。
「よかった。私、エドワード様が別の誰かにとられてしまうのかと思ったのです」
「まったく。お前は余計なことを考えず、とにかく俺だけを見ていればいいのだ」
エドワードは呆れたように言い、ラナの身体の両側に手をつくと、背をかがめて顔を近づけた。
それから最初に彼のお気に入りの小さな鼻に口づけ、次にバラ色の唇に自分のそれをそっと重ねた。
かわいらしい音を立てて離れると、ポカンとした青い目が彼を見上げている。
彼女はキスをするときに目を閉じることも知らないのだと思うと、エドワードの胸は甘い喜びで満たされた。
(これは……キスというものかしら)
ラナはぼんやりと思う。