王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
『俺のもの』と言われるといつも反抗したくなるラナなのに、今日だけは苦しくなるほど甘い胸の締めつけに、彼女の心はかき乱されるのだった。
ラナがそうやって様々なところを撫でられ口づけられ優しくかわいがられていると、ようやく救世主が部屋のドアをノックして現れた。
大きな箱を抱えて静かに入室してきたキティが、寝台の上でのぼせあがっているラナを見て目を吊り上げる。
「エドワード様ってば、なにをなさっているのですか!」
それからベッドの側まで飛んでくると、ラナを組み敷く男をしっしと追い払ってしまった。
「ほらほら、包帯を交換するお時間ですよ。どうぞお部屋の外でお待ちになってください」
「いや、俺はもう二度とラナを腕の届く範囲より遠くへやらないと決めたんだ」
「またそんなことをおっしゃって! こんな滞在先での同衾を許されたのだって、とっても寛大なライアン様のおかげなのですよ。あんまりべたべたしてラナ様に嫌われても知りませんからね」
「随分な言いようだな。お前の主君は誰だ?」
ついこの間、王太子つきの侍女として婚約者の世話を命じられたキティは、澄ました顔で答えた。
「ラナ様にございます」
エドワードには若干不満が残ったが、たしかにこれ以上ラナに触れて傷に障るようなことをしてはいけないので、自制の意味も込め、おとなしく部屋の外に追い出されることにした。
■3■
キャンベルの地で数日療養をしたラナは、それからすぐ自由に動き回れるくらいに回復した。
肩の傷は心配されたほど深くはなく、また背中側の肩甲骨のあたりだったので、2週間後の結婚式でもある程度であれば襟の開いたドレスを着ても問題はないだろうと思われた。