王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
エドワードはラナを見下ろし、イジワルそうに眉を上げる。
「お前はまだそれを言うのか」
そのときちょうど上階へ続く階段に差し掛かったので、ラナはローブの裾を淑女らしく捌いて持ち上げた。
エドワードはその隙に腰をかがめ、ラナの膝裏をすくい上げると、背中に腕を回してあっという間に横抱きにしてしまう。
「きゃあ! エドワード様、下ろしてください!」
「お前に俺を拒む権利はないぞ、姫君」
「私は自分で階段を上ることくらいできるのです」
「どうかな。俺のお転婆姫はドレスにつまずいて転んでしまうかもしれない」
ラナは令嬢としては運動神経のいいほうだったので、これには憤慨して頬を膨らませた。
エドワードとしても王女の所作が完璧で、スカートを踏んでしまうようなことは決してないことを知っていたが、これは彼女をからかいたいための言い訳であった。
そうこう言っているうちに、エドワードはラナを抱いたまま階段を上りきってしまう。
エドワードがラナを床に下ろすと、彼女はくるりと踵を返して今来た階段を下りようとする。
「こら、どこへ行くんだ」
彼はすかさずラナの左手を掴んだ。
ラナがキッと王子を睨み上げ、バラ色の唇を尖らせる。
「階段を下りて、もう一度上ってくるのです。自分で、歩いて」
「困ったな。かわいい奴め」
ラナはそう言って笑ったエドワードに捕まり、またしても軽々と抱え上げられてしまったのだった。