王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

「ラナ様のお食事に混入していたという毒も、種類は違いますが、赤いオオカミに打たれていたものと生産国は同じのようです。おそらくそちらもバルバーニの差し金によるものかと」


ライアンの報告に、エドワードが険しい顔で頷く。


「奴らが王女を手に入れることでスタニスラバとの接触を持つことを目的としているのなら、ラナの命に関わるようなことはしてこないと思っていたが。どうあってもこの婚約をなかったことにしたいらしいな」


エドワードの膝の上で組まれた両手に力がこもっている。

彼らがしばらく考え込むように口をつぐんだので、ラナは久しぶりに顔を合わせたライアンに礼を言った。


「あの、ライアン。私がここへ来られるように手配をしてくれてありがとう。おかげで毒の入った食事を食べなくて済んだし、殿下をお守りすることもできたわ」

「いえ。王太子殿下をお守りするのは、本来私の役目だったのです。ラナ様のお身体に傷を負わせてしまったこと、深く悔やんでおります。それに殿下が殺気に気がつけないほど取り乱していたのは、私の不手際でもありますので」


エドワードは鼻の頭に皺を寄せ、拗ねたような表情で側近を睨んだ。


「まったくだ。ラナを城から出してくれたことには礼を言うが、こちらへ向かっているともっと早く教えてくれればよかったものを」


ラナがキャンベルへ来られたのは、エドワードの出立を見送ったとき、ライアンがそう提案してくれたからだった。

彼がいろいろと手を回してくれたおかげで、キティやルザやほんの少数の精鋭な近衛兵を伴って、お忍びでこちらを訪問することができた。

彼女が不在の城で王女のための食事が作られていたのは、ラナが外出届を出さずに城を抜け出したからであって、大半の者はまだそのことを知らなかったのだ。
< 86 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop