王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
ラナはこの数日でデイジーのことがとっても好きになっていた。
エドワードが彼女を公妾にすると言わなくて本当によかった。
いくらデイジーが素晴らしい女性でも、彼にデイジーのことを愛していると言われれば、ラナは彼女のことを心から慕うことはできなかっただろうと思う。
彼女の兄がハサンだというのだから、エドワードは良い友人に恵まれていたに違いない。
ラナが心の中でそう思ったとき、開け放たれた衣装室のドアが軽くノックされた。
入り口に立っていたのはそのエドワードである。
「ごきげんよう、姫君。そろそろ俺の腕の中に帰ってきてくれるかな」
「エドワード様! おかえりなさいませ。もうお仕事は終えられたのですか?」
頭に変な被り物をし、手には軍靴を持った王女を見て、エドワードは頬を緩ませる。
彼の婚約者はなんと素敵な女の子なんだろう。
今日、エドワードはラナを屋敷に置いて昼間からどこかへ外出していたのだ。
屋敷の中では決してラナの側を離れない彼だが、さすがに外に連れていくことはしない。
彼女をここへ残していく代わりに、屋敷の至る所に選りすぐりの屈強な近衛兵が置かれていた。
ラナには外出禁止令が敷かれている。
彼女はそれをちょっぴり窮屈に思ったが、エドワードの気持ちを理解しているつもりだったし、彼女が外へ出たいとわがままを言えば、どれだけの数の兵士の手を煩わせることになるかわかっている。
またどこかで危険な目に遭って、エドワードの過保護を加速させるのも本意ではなかった。