王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
それから少し頬を赤らめて、彼女にこの世で一番素敵な感情を教えてくれる男を見上げる。
「でも、エドワード様は私の王子様だったみたいです」
はにかむラナを見下ろして、エドワードはアーモンド型の目をキョトンと丸めた。
彼はこれまで複雑な乙女心を知ろうとしなかったので、遠回しな告白にはちっとも気がつかなかったけれど、一挙手一投足を見つめる王女の告白ならば、それだけで十分だった。
エドワードは両方の手でラナの頬を包み込むと、背を屈めて顔を近づけ、彼女の唇の上で答えた。
「光栄です、姫君」
それからふたりは広いバルコニーにカウチを並べ、その上に柔らかいクッションを敷き詰めて、星空を眺めながら寝転がった。
ラナはエドワードの左腕に頭をのせ、空に浮かぶ光をひとつずつ数える。
彼女があまりの安心感にうとうとしてくると、エドワードはなにも言わずにそっと髪を撫でてくれた。
しばらくしてラナが眠りに足を半分突っ込んだ頃、エドワードに軽く肩を揺すられて目を覚ました。
「ラナ、始まったぞ」
ラナは瞼をこすって目を開ける。
先ほどまでそこら中に転がるように瞬いていた星々が消え、空がうっすらと明らみ始めている。
夜空の隙間から現れた緑色の光が踊るように揺れ、どんどん大きくなっていき、ついには視界いっぱいの光の帯になった。
ラナは興奮して飛び起きる。
「わあ! エドワード様、これって……」
「それが北に現れる暁の女神だ。スタニスラバでは見られないだろう」
それは彼女の故郷には現れないもので、北の大陸で見られる神秘的な現象なのだと聞いていたから、こちらへ来たら絶対に目にしてみたいと思っていたのだ。
エドワードはまたひとつ、彼女の望みを叶えてくれた。