王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

それからエドワードはラナの背中を優しくさすってくれて、ときどき髪に指を絡め、そこに気ままに唇を寄せる。

ラナはゆっくりと上下する彼の胸に頬をくっつけていると、自分が眠りかけていたのだということを思い出した。

それからはあっという間で、彼女はエドワードの腕に抱かれたまま穏やかな寝息を立てる。

エドワードはラナの眠りが深くなるのをしばらく待ってから、彼女を抱え上げて部屋の中のベッドへ運び、形のいい額にキスを落として、自分もその隣で眠りについた。




■5■


ラナは柱の陰からひょっこりと顔を出し、辺りを注意深く見渡した。

正午を過ぎた王城は昼寝をしているかのようにのんびりとしていて、目に眩しい陽だまりの射し込む開け放たれた扉までは人の姿は見えない。

あそこを出たところには出入り口を守っている近衛兵がいるはずだが、走って抜ければさすがに王女に暴力は振るえないはずだ。

彼女に手を触れたと知れば、婚約者が黙っていない。

(よし、今回こそ必ず成功するわ)

ラナはローブの裾を持ち上げ、意を決して足を踏み出す。

しかし彼女の足は無情にも宙を切り、後ろから腹に回された片腕に軽々と身体を抱え上げられてしまった。


「こら、やっと捕まえた」


王女を小脇に抱えているのは無論、エドワードである。


「お前は本当に鬼ごっこが好きなのだな」

「離してください、殿下!」


ラナは無茶苦茶に暴れるが、王太子の腕からは逃れられない。
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