人魚姫の願い
「私のこと嫌いなら嫌いでいいよ。私もそういうのはっきり言われた方が楽だから。だけど‥そうやって敵意むき出しで来られると、すごく迷惑。傷つくから‥。」

涙をふきながら言ったとき、視界が急にぐらつき始めた。


「それが、お前が言いたいこと?‥て綾瀬、話聞いてるか?‥お‥おい!大丈夫か?綾瀬!?」


私はそのまま大智くんの方に倒れてしまった。



‥最悪だ‥。よりにもよって、こんなに嫌なことを言ってくる大智くんの方向に倒れちゃうなんて‥。

大智くんなんかに弱味なんか見せたくなんかないのに‥


私は熱のせいで意識が遠くなっていくのを感じた。











「‥‥ッ‥‥ここは‥‥どこ?」

見上げれば白い天井。まわりをみわたせばカーテンに囲まれていた。


すると、カーテンが勢いよく開いた。


「美凪、気がついた?」


そこから現れたのは笑顔の須崎先輩だった。



「せ‥先輩‥どうして‥」


「俺?俺は今日の昼休み保健委員だからさ、今日は当番なんだ。美凪がいるて知ったときびっくりしたよ。」


「そ‥そうなんですか‥。」


熱があるせいか、まだ頭がぼーっとしていた。

でも、これだけは考えられた。


私‥朝からずっと寝てたんだ‥


そんなことを考えていると須崎先輩が私に近づいて来た。


「ほら。」


そんな声と同時に突然おでこに冷たい物が触れた。


「ひゃ!冷たい‥!」


見ると須崎先輩の手には冷たいアクエリアスがあった。


「これ飲んで、ゆっくり休みなよ。熱もあるし帰った方がいいよ。」


須崎先輩がアクエリアスを私にわたした。


「じゃあ、お大事にね。人魚姫さん。」


優しく微笑むと先輩は私に背を向けて歩き出した。



私は思わず先輩のカッターシャツの裾を掴んでいた。


「えっ?‥み‥美凪‥どうした?」


先輩がびっくりした表情をしていた。


「あっ‥ご‥ごめんなさい。私‥つい‥。」


すると須崎先輩はカーテンを再び閉めて私を優しく抱きしめた。


「せ‥先輩‥?」


この状況に少し戸惑ってしまう。

< 16 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop