呆れるほど恋してる。

「ねえ、その顔グッとくる」


もう何度目のキスかわからない。


そのままホテルに行った。


部屋に入った瞬間、どちらからともなく求め合い始めた。


唇が触れただけで気持ちが良かった。


自分を包み込んでくれるのは、順だけだ。


そんな気がして、切なくて胸がいっぱいになる。


そんな訳あるはずもないのに。


深夜2時を回ったところで、時間も追うのをやめた。


「ねえ、せりさん」


名前を呼ばれ顔を上げる。


キスをされる。


甘くて長いキス。


そして愛おしむように、額にも口づけされる。


出会ったその日になんてバカみたいだ。


互いのことなんて知らないのに。


知り合う前に進んでしまったら、信頼関係なん築く必要もない。


何度も求められ、「しつこくてごめんね」と順のかすれた声を聞いたところで意識がなくなった。
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