エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
同じ年頃の子と比べても背が低い方の私は、長身の大人の男に迫られるとまるで壁か山のように感じられ、正直こわかった、というのもある。

でもそれ以上に、間近に寄せられた男の整った顔立ちと、私を見つめる燃えるような熱いまなざしに、心臓をつかまれ、呼吸を奪われた気がした。

「美しい……」

肩にかかる長さの私の黒髪を大きな手のひらで撫で下ろしながら、男がうっとりと呟く。

つかまれた心臓が、どくんと大きく音をたてた。

男は私の前にひざまずくと、うろたえる私の両手を握って、笑った。

「やっと会えたね、私の女神」



―――それが私の“主人”になる男、ハルヒコ・カンバラだった。


***

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