エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「そ、そうなんだ。おめでとうございます」
私がやっとそう言うと、彼は「なんか照れるなあ」と笑いながら頭をかいた。
「娘さん、何歳なんですか」
「2歳。かわいい盛りってやつ?」
タレ目の目尻をさらに垂れさせてアラキさんが答える。
アラキさんはもともと子供好きだから、自分の子供のことは当然ものすごくかわいいんだろう。
でも、ねえさんの恋人だった人―――私からしたら多少は父親みたいだった人(多少だけど)の新しい家庭の話を聞くのは、何となく複雑な気分だ。
「もうホント、かわいくて天使みたいなんだけどよ。―――ちょっと、持病があってさ」
明るくはしゃいでいた彼の声が、そこでふいに元気をなくす。
「持病?」
「気管支が弱いとかで、よく発作とか起こすんだよ」
「ぜんそく……ですか?」
「うん。あんなに小さいのに、ゼーゼー苦しんでるのすげえかわいそうでさ。
……なあ、リイナ」
アラキさんが、真面目な顔で私を見た。