エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「お前は<リーフ>だけど、<エメラルド>と同じくらいの力を持ってんだろ?それでうちの娘のこと、助けてやってくんねえかな」
「あ……」
それは……。
花街にいた頃ならともかく、私は今はハルヒコ様に所有されている<グリーン>だ。
上層で暮らす<グリーン>は、自分の属する家、または自分の主人の許可する範囲の者にしか治癒行為をしてはいけないという決まりがある。
つまり、ハルヒコ様の知らない所で、私が勝手に他人に力を使うことはできない。
「ごめんなさい、力にはなりたいんだけど……。旦那様に黙って勝手なことはできないの」
申し訳ないけど、そう言うしかなかった。
「そっか……そうだよな。
お前はもう上層階級のお嬢さんなんだし、下層からの流れ者の俺らに関わるだけでも旦那様に怒られるか」
「ち、ちがうの、自分の主人の家の人以外に力を使っちゃいけないって決まりがあって……!」
「わかってるよ、大丈夫。言ってみただけだから、今の話は忘れてくれ」
アラキさんは笑いながら私の背中をポンポンと叩く。
そのあきらめたような笑顔を見て、罪悪感と焦りとが同時に込み上げてくる。