エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

『死ねれば楽になれたのに。この地獄でまだ私は生き続けなくちゃならないの?
あんた私を助けた気でいるのかい?
ふざけるな、あんたに私の何がわかる。
私はあのまま死にたかったのに……どうして……』


その手にはいつの間にかナイフが握られていた。

ねえさんはその鋭い切っ先を、私に向けた。


『どうして…アンタのせいで……アンタのせいでぇぇぇッ!!』


魂を裂くような叫びとともに、私に向かってナイフが振り下ろされる。

(……!!)

私は悲鳴も上げられないままうずくまってかたく目を閉じる。

……けれど、いつまでたっても刃物が身体に突き立つ気配はない。

そうっと目を開けてみる。

するとそこには、一面の赤い世界が広がっていた。

赤い世界の中央には、ねえさんが仰向けに倒れていた。

その胸には深々とナイフが突き立っている。

ナイフにえぐられたねえさんの身体からはあとからあとから血があふれ出し、流れ続ける血が世界を赤く赤く染めていく……。


私は叫んでその身体に走りよろうとした。
だけどできなかった。


ねえさんの血でできた赤い世界はいつの間にか深い泥の海に変わり、私はそこで溺れていた。


息ができずにもがく私に向かって、四方からねえさんの恨みの声が押し寄せる。



アンタのせいで―――アンタのせいで―――アンタのせいで―――……



(ねえさん……!)

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