エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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チッ……チッ……チッ……チッ……
秒針が正確なリズムで時をきざんでいる。
屋根裏の書庫のカウンターにうつぶせて、私は目の前にある置時計の針が動くのをただぼんやりと目で追っていた。
勉強をしなくちゃと思って午後からこの部屋に来たはずなのに、結局ノートも広げていない。
それどころか、もう何時間も、何をするわけでもなくこの場所に座っているだけだった。
ひたすら秒針の運動を見つめ、それになんとなく飽きたら時計のデザインを眺める。
以前本棚に置いてあったのを見つけて持ってきた、木枠の置時計。
白い文字盤の外側を、木の枝と卵型の赤い実のモチーフが囲っている。
何の実だろう、リンゴじゃないし、アケビでもないし……。
……どうでもいいけど。
はあ、と大きなため息をついて、私は完全にカウンターに突っ伏した。
今朝からちっとも頭が働かない。
ゆうべ見た夢が酷すぎたせいで、重いユウウツに取り憑かれているせいだ。