エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜





***





「……ええ、今日少し話したわ。相変わらずよ。返事はするけど素っ気ないし目も合わせない……」



マジュの部屋のドアを開けようとして、私は手を止めた。

中からルイさんの声がする。

まだ帰っていなかったみたいだ。


(誰かとしゃべってる?)


だけど、話し声はルイさんのものしか聞こえない。

どうやら誰かと電話で会話をしているらしい。


「あの子が笑うところを、私はあれ以来一度も見たことがない。
あんな目に合ったんだから、当然のことなんでしょうけど……」


もしかして、私の話をしてるんだろうか。

普通の態度をとっているつもりだったけど、やっぱりぎこちなかったのかな……。

ルイさんがまだいるなら、部屋には入れない。

立ち去ろうか迷った後、私は結局こっそりとドアに耳を押し付けた。

自分のことだと思うと、やっぱり気になってしまう。


ルイさんの声は続いている。


「ええ、それはもちろん……でも、私に出来ることなんてたかが知れてる。そろそろ限界なのよ。
……ところで、復学の件は?」


(……復学?)

< 173 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop