エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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「……ええ、今日少し話したわ。相変わらずよ。返事はするけど素っ気ないし目も合わせない……」
マジュの部屋のドアを開けようとして、私は手を止めた。
中からルイさんの声がする。
まだ帰っていなかったみたいだ。
(誰かとしゃべってる?)
だけど、話し声はルイさんのものしか聞こえない。
どうやら誰かと電話で会話をしているらしい。
「あの子が笑うところを、私はあれ以来一度も見たことがない。
あんな目に合ったんだから、当然のことなんでしょうけど……」
もしかして、私の話をしてるんだろうか。
普通の態度をとっているつもりだったけど、やっぱりぎこちなかったのかな……。
ルイさんがまだいるなら、部屋には入れない。
立ち去ろうか迷った後、私は結局こっそりとドアに耳を押し付けた。
自分のことだと思うと、やっぱり気になってしまう。
ルイさんの声は続いている。
「ええ、それはもちろん……でも、私に出来ることなんてたかが知れてる。そろそろ限界なのよ。
……ところで、復学の件は?」
(……復学?)