エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

『ハルヒコさんはリイナさんの昔のことを調べているらしくて……花街にいた頃のことが知りたいようだったけど……』


その言葉を思い出すだけで足が震えた。

二階の自分の部屋に戻りたくて階段を下りようとしたけど、段差をうまく歩くことが出来ずに、私は手すりにすがりつくようにしてしゃがみ込んだ。


(ハルヒコ様が、私の花街時代のことを調べてる……?)


なんでそんなこと……いや、理由なんかわかってる、アラキの話が本当かどうかを確かめるためだ。

だけど、ハルヒコ様が知りたいのはアラキの恋人が実在したかとか、彼女と私の関係がどうだったかなんてことじゃない。

私の<グリーン>の力を注いだせいで気が触れた人間が、本当にいたのかどうか。

私を<グリーン>として所有しているハルヒコ様にとって重要なのは、その一点だ。


(「原石園」出身って時点で私の品質は保証されてるはずなのに。ハルヒコ様は、その「品質」を疑い出したってこと?)


自分が彼に疑われている。

それを思うと、身体の内側が冷たくなっていくようだった。

震える足はもう感覚がない。

立ち上がれない。


(だけど、いくら調べたって私は潔白だもの。ねえさんが本当におかしくなってたとしたって、それは私の力のせいなんかじゃない。
全部アラキさんの言いがかりで、妄想で、事実じゃないってわかるはず……)

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