溺愛〜ラビリンス〜
「大丈夫だ…柚を助けてくれてありがとう。」
『いいえ…私…柚ちゃんがあんなに苦しんでいるのに、何もしてあげられなかった。お礼を言われる事なんてしてません。柚ちゃんまだこれからもつらい思いをすると思います。私も親友としてできる事はしたいと思いますが、お兄さんも柚ちゃんの事支えてあげて下さい。』
「あぁ…ありがとう。これからも柚の事頼む。今回は有希ちゃんがいてくれたから、柚をこれ以上大変な状況に置かずに済んだし、有希ちゃんが傍にいてくれるだけで救われたと思う。本当にありがとう。」
「柚は落ち着くまで学校を休むが、もし可能なら遊びに来てやってくれ。」
『はい…もちろんです。』
有希ちゃんは柚の状態を聞き、安心した様子で電話を切った。
電話を切りため息をつく俺に渉が心配そうに聞いてくる。
「どうした?」
「ハァ…王龍の姫からだ…柚の事心配して電話してきた。」
「…そうか。」
渉はそう言うと黙ってしまった。部屋の空気はいつもより暗くなっていた。健人達も黙ってしまって部屋はシンと静まり返っていた。
コーヒを淹れ直しみんなで飲んでいると出かける時間が近づく。