溺愛〜ラビリンス〜


「おい」


ユズ姫と白王子が振り向くと不機嫌な黒王子、坂本悠斗がいた。

にらみ合う二人の王子。
ユズ姫は困った様な表情で坂本へと顔を向ける。そしてにこやかに声をかけた。


「ゆうくんおはよう。」


鷹宮とにらみ合っていた坂本は視線をユズ姫へと向ける。


「ゆうくんどうしたの?」


ユズ姫が心配そうに聞いた。

すると坂本は視線を鷹宮に戻し


「柚に触るな!」


低い声で言い放ち、ユズ姫の右手と繋いでいた鷹宮の左手を振り払った。


坂本と鷹宮の間に流れる空気にどうして良いか分からないのだろうオロオロするユズ姫。


「坂本くんには関係ないよ。僕と柚ちゃんの事に口を出すのは止めてもらいたい。」


冷たい視線で睨み付ける鷹宮。
おいおいさっきの王子スマイルはどうした?


「柚は俺のものだ。触るな。」


坂本もにらみ返す。


「いつから柚ちゃんが君のものになったんだ?彼女は僕のものだ!君には渡さない!」


ヒートアップして行く二人に、ここに翔真が居たら間違いなく修羅場だ。
胸を撫で下ろしながら、ユズ姫がいつお前らのものになったんだよ!と心の中で突っ込む。




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