溺愛〜ラビリンス〜
とにかくこの騒ぎからユズ姫を助け出さないと……動き出そうとした瞬間
「ちょっとあなた達いい加減にしなさいよ!廊下で言い合いして、柚を困らせてるのが分かんないの?」
ごもっともな意見を言う怒りを含んだ声が聞こえてきた。騒ぎを聞いて出てきたユズ姫の親友、上森亜莉沙だ。
「亜莉沙…」
「柚、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ゴメンね。」
「そう…。それなら良かった。」
上森が話しかけ会話をして少し落ち着いたのか、ユズ姫は坂本と鷹宮の方を向いて
「ゆうくんもあつくんも、もうケンカしないでお願い。」
と言った。
二人の王子は柚姫の言葉に、それぞれヒートダウンしてすまなそうに返事をした。
これ以上注目を浴びるのが嫌なのか、ユズ姫はみんなの視線を避ける様にその場を立ち去ろうとする。
「もうチャイムなっちゃうから教室に行くね。ゆうくんまたね。」
坂本に声をかけると
「チッ」
舌打ちした坂本は仕方なさそうに返事をする。
「あぁ…」
ユズ姫は坂本の返事を聞いてそのまま教室へ入って行った。
「報告しないとな…」
ため息をつき、俺は何とかユズ姫を教室へ送る事ができホッとして自分の二年の教室へ向かった。