溺愛〜ラビリンス〜
「それだけじゃないだろ?」
渉が爽を責めるような視線を向けて言う。
「翔兄ぃ?」
「どうした?」
「爽くんに何を取られそうになったの?翔兄ぃって昔から物に執着しなかったのに…こんな怒る程大事にしてる物があるなんて知らなかった…」
柚の言葉に部屋が水を打った様にシーンとなる。 みんな何て言って良いかどうしたら良いかわからない状態だ。
「あれ?私何か変な事言った?」
そんな俺達の気持ちも知らず首を傾げみんなが静かになってしまった事を不思議そうにしている柚に笑みが溢れる。まったく柚らしすぎる…そんな柚の問いに答える。
「いや…大丈夫だ…みんな柚が俺の事を良く分かっているからびっくりしたんだ…気にするな?」
「うん。」
「本当は何があったんだ?」
俺達の会話の傍で健人が渉に小声で聞いている。
「いつも通りだ…翔真が固執する“もの”に触れ様としたんだ。」
渉がそう言うと健人は納得した。
「そういう事か…」
俺が固執する“もの”は…昔から柚だけだ…柚本人は気づいてないけどな…