溺愛〜ラビリンス〜

折原 渉 side


健人からのメールを読み小さくため息をつく。


やってくれるね白、黒王子。
まったくチームが忙しい時に…さて、我等が総長様にどう報告したものか…頭痛いな。
思案しているとメールの相手が健人だと分かっているのだろう、翔真がいつものソファーに座り報告を待つ様にこちらを見ている。


「柚ちゃんは無事健人と学校に着いたから大丈夫だよ。ただ…」


と言葉を言い淀む。キレるなよ翔真。


「どうした?」


柚ちゃんに何かあったと思ったのだろう。心配そうに続きの報告を促す様にじっと俺を見つめる。女の子にこれやったらすぐに堕ちるけど俺には止めろよ。
チームの事で仕方なかったとはいえ、柚ちゃんを目の届く場所に置いておかなかった事を後悔しているのだろう。


「いや別に危険な目にあったり、ケガしたとかじゃないから…」


と言葉を切った後


「悠斗と鷹宮が朝から柚ちゃんめぐってやりあったらしい。お互いに柚ちゃんは自分のものだと廊下で言い合って騒ぎになったって。」


と告げると


「チッ」


と翔真が忌々しげに舌打ちをした。





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