溺愛〜ラビリンス〜
「まったく白王子、黒王子は相変わらずだよねぇ。」
少しでも場の空気を和らげようと明るく言えば
「面白がってるんじゃねぇ!」
怒りの火に油を注いでしまったのかお怒りモード全開の翔真。
そうだよな。大事な大事な柚ちゃんの事だから、冷静になれってのはムリだよな…
翔真は小さくため息をついた。
「早くケリつけて学校行くぞ。」
俺と翔真は幼稚園からの付き合いだ。
そもそも翔真の母親とうちの母親が学生時代からの親友だから、生まれた時からからよく一緒にいたらしい。
でも俺が二歳の時、父親の仕事の都合でイギリスへ渡り、幼稚園に上がる年に日本に戻って来た。
だから俺と翔真の記憶は再会した時からのものだが、俺達は幼稚園に入園し親友となる。
俺が柚ちゃんを初めて見たのはちょうどこの頃だ。
ちなみに黒王子、坂本悠斗と出逢ったのもこの頃だ。悠斗の母親も親友の1人だった。
まだ4才だった柚ちゃんはクリクリした大きな目、小さく赤い唇、ピンク色の頬、ピンクのうさぎのついたゴムでツインテールにした髪が揺れて天使の様な可愛さだった。