溺愛〜ラビリンス〜

「分かった。」


「ゆうくん、私も一緒に行くよ…」


一人でこの席にいるのが不安でそう言うと、ゆうくんは私の頭をポンポンと撫でて優しい笑顔を向けてくる。


「二人で行ったら意味ねぇだろ?柚はここで席とっといて。」


ゆうくんの笑顔を見た隣の女性は赤い顔のままポーッとしてしまった。


ゆうくんが立ち上がりジュースを買いに行こうとすると、突然隣にいた女性が膝に置いてあったカーディガンが落ちた。何だかすごくわざとらしい落とし方だったけど……私がそんな事を思って見ていると、足元にタイミング良く落ちたカーディガンをため息を吐いてゆうくんが拾った。


「すみません。」


頬を染めて受け取る女性にゆうくんは返事もせず歩き出した。


何か話しかけようとしていた女性は、無視された状態に茫然としている。

そんな状況を、私は気づかない振りをしていた。


すると女性は立ち上がり、自分の隣に座る男性にお手洗いに行くと声をかけてそそくさとトイレに向かう。でも向かう先は、どう見てもゆうくんを追っている。さっきのゆうくんの態度からすると無駄だと思うんだけど……そんな事を考えながらゆうくんを待った。




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