溺愛〜ラビリンス〜

「柚、ちょっと下りて話しをしないか?」


私が聞きたかった事を察したゆうくんがここに来た理由を言って、ハッと悟る。
ゆうくんは返事を聞きたいのだろう。理解した私は頷いた。



車を下りると風が心地よく吹いていて、ゆうくんに手を引かれ遊歩道を歩く。


さっき行った水族館はこの丘の少し下にあり見渡せる。


風が吹くだけの静かな遊歩道を歩き、途中にある東屋へと向かった。
東屋にたどり着くまでゆうくんも私も一言も話さなかった。


「柚、座るか?」


「うん…」


東屋のベンチに座ると、ゆうくんは遠くを見つめたまま口を開かなかった。



数分の沈黙の後、ゆうくんがやっと話し出した。


「柚……」


「うん?」


「前に俺は柚に返事を待つと言った。俺の気持ちはいつまでも変わらない。でも…どこかで区切りをつけなきゃならない……」


「……うん。」


「正直、今がその時なのか分からない。俺は間違っているのかもしれない……まだ柚に返事を求めるのは酷かもしれないが、柚…柚の中で結論までいかなくても、自分の気持ちは気がついたんだろう?」




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