溺愛〜ラビリンス〜
「お母さん…後で翔兄ぃの今の状態を聞きに行こう?」
私がそう言うと、お母さんは少し驚いた表情をしたけど、すぐに笑顔になった。
「そうね。」
私は固まっていた足を動かして、翔兄ぃのベッド脇まで進んだ。
「翔兄ぃ?」
膝を落として屈んで、翔兄ぃの耳元でいつものように名前を呼んでみる。
返事をしない翔兄ぃの髪に触れ、頬を撫でる。温かい体温を感じて、翔兄ぃが生きている事を確認できてホッとする。
「早く目を覚ましてよ?翔兄ぃが傍にいて守ってくれないと、私…どうして良いか分からないよ…だから早く起きて?」
気がついたら私の目からは涙が溢れていた。
ポタリと私の涙が翔兄ぃの頬に落ちた。
「柚…」
背後からお母さんが肩に手を置く。
「お母さん…」
涙を手で擦りながら振り向きお母さんを見る。お母さんは微笑みながら、翔兄ぃの前まで来て翔兄ぃの手を握った。
「…温かいわね。翔真は生きているわ。絶対に目覚めるわ!」
そう言いながら翔兄ぃの手を擦った。
「うん…」
私も笑顔を浮かべて頷いた。