溺愛〜ラビリンス〜

数十分の面会を終え、後ろ髪を引かれながら、ICUの病室を出て簡易白衣を脱ぐと、看護師さんに声をかけた。


「すみません…」


ICUのナース室の席に座っていた看護師さんが立ち上がりこちらに来てくれる。


「どうしました?」


来てくれたのはさっき回診が終わった後、ICUへと呼んでくれた看護師だった。


「あの…三浦翔真の状態はどうなんでしょうか?」


私がそう聞くと、看護師さんは優しい笑顔を作って私達を見た。


「翔真くんの状態は、今朝の回診では特に変化なしでした。大量に出血もしたので、まだ増血の点滴も続きます。」


「はい…」


想像はしていたけど、やっぱり変化がない状態なんだと、少しがっかりしてしまう私がいた。それでも気を取り直して、看護師さんの続く説明を聞いた。


「目を覚ますのがいつかも分からないけど、もし目覚めなくても、ある程度、容体が落ち着いてきたら先生の判断で一般病棟に移る事になると思いますが、それまではICUですから短時間の面会しかできません。」




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