溺愛〜ラビリンス〜
渉くんと私も爽くんの後に続く。私が泣いていたから二人は翔兄ぃが気になっているのに、私に駆け寄って来て、まだ翔兄ぃの姿を見ていないんだ。数歩歩くと、病室が見える硝子の前までたどり着く。
硝子の向こうに居る翔兄ぃが見えてくると、二人の雰囲気が変わる。やっぱり親友とも言うべき仲の良い友の変わり果てた姿は見るのが辛いのだろう…
「朝ね…お母さんと二人でICUの病室の中に入って、翔兄ぃの傍に行ったの。私が声かけても翔兄ぃ、目を覚まさなかった…長期戦になるかもしれない。」
視線は翔兄ぃに向けたままで、私が二人に話しをすると、二人も翔兄ぃを見たままで
「そうか…」
とだけ答えた。
私達の間に沈黙が広がり、ただ硝子越しに翔兄ぃの姿を見つめていた。
「柚ちゃん、学校はどうするつもり?」
渉くんが沈黙を破って突然質問してきた。多分、それによって私の送迎とか予定があるんだろう。
「えっと…お母さんと話して、翔兄ぃの状態が少し落ち着いたら、登校しようと思ってるの。」
「そっか…じゃあ、その時はちゃんと俺達に報告してね?」
「うん…分かった。」
私は渉くんの言葉に頷いた。