溺愛〜ラビリンス〜

「渉!失礼な奴だな。誰が品位を落とすんだよ。」


爽くんがムッとして渉くんに言い返す。


「爽以外にチームの品位落とす奴がいるのか?」


「ふざけんな!」


爽くんが怒って怒鳴り出し、また大きな声が響く。爽くん…だからここは病院だから!小さい声だよ?私はハラハラしながら二人の言い合いを見ていた。


「だったら空気読め!今もだ。ここは大声出して良い場所じゃない。」


渉くんがもっともな事を爽くんにピシャリと言う。


「ッツ…分かってるよ!」


爽くんは不貞腐れてソッポを向いている。
さっきよりは険悪さは和らいだけど、まだ重苦しさの残るこの場を何とかしなくちゃと思うけど、私にはそんな気の利いた言葉は浮かばなかった。


「ハァ…」


私が悩んでいると、渉くんがため息を吐いた。どうしたんだろうと渉くんを見ていると、渉くんは爽くんでなく私に視線を向けた。


「柚ちゃん、翔真は取り合えず昨日から変化ないみたいだね?」


突然話題が変わりビックリしたけど、今のこの空気を変えたくて話しに乗っかる。


「うん…良くも悪くも変わってないみたい。」




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