溺愛〜ラビリンス〜
「…柚ちゃん…」
長い沈黙を破って渉くんが話し始めた。私は真っ直ぐに渉くんを見た。
「今の柚ちゃんの正直な気持ちを教えてくれないかな?」
「ッツ…」
言葉に詰まる私に、渉くんは優しく話すのを待ってくれる。
「考えが纏まらなくても良いんだよ?自分が思っている事を正直に言って良いから。」
渉くんの言葉に頷いて、口を開く。
「私…私が約束通り帰らなかったから、罰が当たったの…でも…その罰は私が当たらなきゃならなかったのに…ッツ…翔兄ぃが私の身代わりになってしまった…目を覚まさない翔兄ぃの姿を見るのが辛い。」
「柚ちゃん…」
「ありがとう…」
渉くんは私にハンカチを差し出してくれた。何時の間にか堪え切れず、私の目からは次々と涙が溢れていた。薄いブルーのハンカチを有り難く受け取り涙を拭いた。
「柚ちゃん翔真の事故は柚ちゃんには関係ない所で起こった事なんだから、柚ちゃんの所為なんて事はないよ!それを言うなら、一緒に居た俺達に責任があるよ。」
「…渉くん。でも…私がゆうくんと一緒に居た事がいつも冷静で慎重な運転をする翔兄ぃに悪影響を与えていたかもしれない。」