溺愛〜ラビリンス〜

「柚ちゃん?」


渉くんが訝しげに私を見る。


「あ、あの…」


何て言って良いのか分からなくて言葉に詰まっていると、渉くんが見透かしたように


「柚ちゃん…翔真に気持ちを伝えないつもりなの?」


そう言われ、ビクンと体が跳ねる。それが渉くんの言葉への返事になってしまった。


「ハァ…まぁ、柚ちゃんの気持ちの整理に時間が必要だから、翔真が目を覚ますまで良く考えて気持ちを整理して?」


渉くんは私にそれ以上の事を要求しないでくれた。私が頷くと、渉くんは笑顔で


「でも一人で思い悩まないで?辛かったら、いつでも俺に何でも言ってね?」


私を心配しているんだろう。一生懸命フォローしてくれた。


「ありがとう…渉くん。」


私も笑顔でお礼を言った。


「ユズユズー!渉!いつまで帰って来ないんだよ!俺を仲間外れにして!」


爽くんが痺れを切らせて私達を探しに来たみたいだ。途端に辺りは賑やかになった。


「やれやれ…煩い奴が来ちゃったな…まったく。」


渉くんはため息を吐きながら爽くんを見た。




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