溺愛〜ラビリンス〜

「ひでぇな。それじゃ、俺が騒々しい奴みたいじゃん。」


「みたいじゃなくて騒々しいだろうが!」


「なっ!俺のどこが騒々しいんだよ!」


渉くんの言葉に、爽くんは憤慨して大きな声で怒鳴る。私はお店の人や、周りのお客さんに迷惑になってないか心配になってキョロキョロと辺りを見回す。店内は時間帯の為かあまりお客さんが居なかった為、爽くんの声は迷惑にならなかったみたいでホッと胸を撫で下ろした。


「そう言う所だよ。どこって、どこもかしこもだろ?本当に騒々しいな…」


私がキョロキョロしている間も二人の会話は続いている。渉くんが爽くんに突っ込みながら睨み合っている。

二人をそろそろ止めた方が良いのだろうか…


「俺は静かだよ!」


爽くんも負けずに言い返して言い合いは止まらない。


「ふ、二人共…そこら辺にしておこうよ…ね?」


思い余って私がそう言うと、二人の言い合いがピタリと止まった。


「柚ちゃん…ごめんね?そうだね。コイツに言っても暖簾に腕押しだった。柚ちゃんにも店にも迷惑かけるだけムダだからもう止めるよ。」





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