溺愛〜ラビリンス〜
「ッツ…」
俺が顔を歪め頭を押さえると、医師が慌てて声をかける。
「どうしました?大丈夫ですか?」
「頭が…割れるように…痛い…」
俺がやっとの思いで答えると、医師は穏やかな声で落ち着かせようと話しかける。
「大丈夫ですよ…無理に思い出さなくて良いですからね?もう無理に話さなくて良いですから…さあ、リラックスして下さい。ゆっくり思い出せば良いから焦らないで。今は体力の回復が先です。良いですね?」
俺は医師の言葉に小さく頷いて軽く目を閉じた。
「先生…あの…少しで良いので、話しをしても大丈夫ですか?」
柚が遠慮がちに聞いているのが聞こえる。
「…えぇ…但し、2、3分位ですよ?まだ目を覚ましたばかりで、疲れもあるし、混乱もあるので、それが限界です。それと患者が興奮したり、混乱するような事は言わないで下さいね?」
「はい…分かりました。ありがとうございます。」
柚がそう言うと、足音が聞こえる。柚がベッド脇まで来たみたいだ。
「…翔兄ぃ?」
柚の声にゆっくりと目を開ける。柚と視線が合った。