溺愛〜ラビリンス〜
「翔兄ぃ?私が分かる?」
柚の目からは今にも涙が溢れそうだ。俺の手を握り締めたその手は、指先が冷たく微かに震えている。
数秒間ジッと見つめ合った後、ゆっくりと頷いた。
「…大丈夫だ…心配すんな。俺の事より…柚…ちゃんと食ってんのか?」
柚は明らかに痩せてしまった。きっと俺がこんな事になって、看病で疲れてしまったったのと、心労から痩せてしまったのだろう。俺の所為だ…
「…うん…ちゃんと食べてるよ。大丈夫だから…翔兄ぃ!私の事より、自分の事心配して!本当に心臓が止まるかと思ったんだから…もうこんなの二度と御免なんだから!分かった?」
俺がちゃんと柚の事を分かった事にホッとした様子の柚は、痩せたのは明らかなのに明るい口調で元気さをアピールする。まったく…本当にうちのお姫様は無理ばかりして、そしてとても健気だ。だからいつも傍で見ていて守ってあげなければ…
「あぁ…早く元気ならないとな…そしたら、また柚を守ってやるからな?」
俺がいつもの調子でそう言うと、柚の顔が歪んで視線を反らした。柚の様子に違和感を感じた。