溺愛〜ラビリンス〜
柚が出て行くと途端に寂しくなった。でもやはり疲れたのも事実で、柚との楽しい時間でも、こんなに体力を消耗させていたのかと驚きと情けなさがあったが、怪我をした体では仕方がない事だ。今は体力を回復する事に心血を注ぐべきだと自分に言い聞かせた。
「ハァ…」
ため息を吐き瞼を閉じると、あっという間に意識は遠退いて行った。
「…ウ…ッ…ン」
「翔真?」
心地良い眠りの世界から、現実に意識が戻り重い瞼を開けると、そこには両親と柚、そして渉がいた。一体どれくらい眠っていたんだろう…
「母さん…」
俺が掠れた声で言葉を発すると、母さんは嬉し泣きの状態で俺を見ていた。
「まったく…この!バカ息子!親にこんな心配かけて…親不幸モンが!」
言われた事が事実なだけに、泣きながら言う母さんに言い返す事はできなかった。
「…ごめん。」
俺は一言だけ返した。
「お母さん…やっと翔兄ぃが目を覚ましたんだから、あんまり怒ったり色々言わないで?お医者さんも言ってたでしょ?」
柚が母さんを宥めてくれると、母さんも落ち着きを取り戻してくれた。