溺愛〜ラビリンス〜

「そうね…ごめんね。翔真が目を覚ましたんだから、喜ばなくちゃね?」


「うん!」


柚と母さんは笑顔になっていた。ホッとしながらそれを見ていると、渉が俺に話しかけてきた。


「翔真…良かった…やっと目を覚ましたな?ったく!心配させんなよ…」


渉は笑顔で言葉をかけてきたが最後の方の言葉は少し涙声だった。俺が意識不明の間、どれだけ心配していたのかが伺い知れた。


「…すまなかったな。柚の事…ありがとうな?」


俺が素直な気持ちを言うと、渉の表情が変わった。それは照れているとか、喜んでいるとかそんな表情じゃなかった。さっきの柚といい何かおかしい。胸騒ぎ嫌な予感しかしないが、両親がいるこの場で聞く事はできない…柚に聞けなかったのだから、柚の前で渉に問い質す事もできない。俺は言葉を飲み込んだ。


「…あぁ…大丈夫だ。気にするな。」


渉はやっとの事で…と言った感じで返事を返した。


「翔真…みんなお前の事を待ってるんだ…早く元気になってくれよ?」


「あぁ…」


「渉くんありがとうね?」


母さんが俺達の会話に入ってくる。





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