溺愛〜ラビリンス〜
「どうした?」
渉は怪訝な表情で俺に近づいて来る。俺は渉だけにしか聞こえないように小声で話した。
「渉…今日でなくて良いから、後で二人で話しがしたい。」
俺の言葉が意味する所を渉は理解したようで、真顔で俺の顔を見て頷いた。
「…悪いな?」
「いや…大丈夫だ。じゃあな?」
渉はそう言うと背を向けて歩き出した。
「あぁ…」
俺は渉の背中に返事をぶつけた。
「渉くんありがとう。」
柚が渉と話しをしながら病室の入口まで見送る。
「柚ちゃんここで良いからね?」
渉が病室から出ないように柚に声をかけた。姫である柚には一人になる時間を例え一瞬と言えど作らない事を俺達は心がけている。
「アッ、うん。じゃあみんなによろしく伝えてね。」
それを柚も理解しているからすぐに渉の言葉に頷く。
「分かった。明日は柚ちゃんは学校どうする?」
渉の言葉に柚が俺の為にかなりの日数、学校を休んでいた事が分かった。
「うん…翔兄ぃも目を覚ましたし、明日は取り合えず出席する。」