溺愛〜ラビリンス〜

「そうだね。じゃあ、いつもの時間に健人と爽を迎えに行かせるからね。」


そう言って渉は立ち去った。





「ハァ…兎に角、翔真が目を覚まししてホッとしたわ。」


渉が消えた部屋の静けさを破ったのは母さんの言葉だった。


「そうだな…小さい頃から何事もそつなくこなす奴だったから、心配もしなかったし男の子だから煩い事も言わずにきたが、こんな大ポカやらかすなんて少しぶっ弛んでるな。退院したらしごいてやるから覚悟しておけよ?」


父さんが何気に怖い事を言ってくる。
うちの父さんは剣道や空手等の武術の有段者で、俺が小さい時、父さんに武術を習って今の強さを身に着けた。その事には感謝をしている。強くなった事で、柚を守る事ができるんだから。ただ…父さんは武術を指導する時、かなりのスパルタ指導になるから、当時の事を思い出したくはないのが本音だ。


「お父さん…翔兄ぃはやっと今日目を覚ましたばかりなんだから、あんまり脅かすような事言わないでよ!具合が悪くなったらどうするのよ。」





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