溺愛〜ラビリンス〜
「あぁ…待ってるな?必ず誰かに送ってもらえよ。一人で来るなよ、分かったな?」
俺がそう言うと、翔兄ぃは心配し過ぎと言いながら、柚はチームの奴に送迎してもらう事を約束した。
「じゃあね?」
母さんと父さんが、そう言って出て行く後を柚がついて行く。
ドアの所で振り返った柚は
「翔兄ぃまた明日ね!」
と手を振って帰って行った。
一人になると、目覚めて数時間経った事で、少しは混乱した思考が働いたり、冷静になれて自分の状況が理解できたりして、生きている事を今更ながらしみじみと実感した。
まだ柚の傍にいる事を許された事が、何より嬉しかった。柚との事がまだ最終的な結論も出ていない。だから俺はまだ死ねなかったのかもしれない。
一人そんな事に思いを馳せていると、病室のドアがガラッと開いた。
「翔真くん、ご家族の方は帰ったみたいね?」
看護師がそう言いながら入って来た。
「ええ…」
「明日は一般病棟に移るから、面会ももっとゆっくりしてもらえるし、可愛い彼女とイチャイチャもできるわよ?」
看護師がクスクス笑いながら言ったセリフに、さっき柚から聞いた事を思い出した。