溺愛〜ラビリンス〜

俺達が兄妹じゃなく、カレカノだと思われていると柚は言っていた。

俺は看護師に貼り付けたような笑顔を向けると、


「ええ…明日は可愛い彼女とゆっくりします。」


と言ってやった。


「まぁ…若いって良いわねぇ。あぁ…ドキドキしちゃうわ!」


看護師は頬を染めて陶酔している。何なんだまったく…


「…あの、何か用ですか?」


俺は早く出て行ってもらいたくてさっさと用件を聞く事にした。


「あぁ…そうそう。検温の時間です。」


看護師は俺の言葉に思い出したようにそう言うと、体温計を差し出してきた。俺がそれを受け取って脇に挟むと、看護師は血圧計を出してきて


「血圧も測るわね?」


と言って測り始めた。







「異常なしね。気分はどうかしら?」


測り終えた看護師は、さっきとはうって変わって仕事モードで聞いてくる。


「大丈夫です。」


一言だけ答えると、看護師は検温を終えて出て行った。


俺が意識がなかった間に一体何があったんだ…
さっきの柚の様子を思い出してしまう。

そんな事を考えながら、体は疲れていて自然と眠りについていた。




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