溺愛〜ラビリンス〜
翌日、午前中に病室を移動して、俺は一般病棟の個室に移った。
移動して看護師が病室から出て行って、一人になると携帯を探した。
左腕を骨折しているから慎重に動き、片腕だけでの作業はぎこちなく手間がかかった。
やっと手に取った携帯で躊躇なく電話をかける。
『もしもし?』
渉はすぐに出ていつものように言葉を発していた。
「渉…俺だ。昨日の今日で悪いが、話しがしたい。」
『…翔真。』
どうしても昨日の事が気になって仕方がない俺は、渉に今までの事を聞きたかった。渉は客観的に、冷静に教えてくれるだろうから、何より俺に嘘を言う事がないから、誰に聞くより一番冷静に俺も話しを聞けると思った。
「悪いが、家族が…特に柚が来る前に二人で話したい。今から来てくれないか?」
『…翔真…もう少し体調が良くなって落ちついてからの方が良いんじゃないか?』
渉は少し戸惑い気味な様子でそう言ってくる。
「いや、柚の事が気になって落ち着かない。悪いが来てくれ。」
『…分かった。翔真…』
「あ?」
『いや、すぐ行く。』
「あぁ、すまない。」