溺愛〜ラビリンス〜

渉は苦しそうな表情で俺に嘘偽りのない事実を語っていた。


「……」


何も言わない俺を気使いながら、渉は話しを続ける。


「…大丈夫か翔真?話しを続けるぞ?」


「あぁ…」


「悠斗に連絡をつける段階で、側近の言葉から二人は…柚ちゃんは悠斗の最後の願いを受け入れて…二人は…」


渉が言葉に詰まってしまったが、何を言いたいのか嫌でも分かった。


「…渉…分かった。要するに悠斗は俺との約束を守らないで柚に手を出したって事だな?」


自分でも驚く程低い声が口から無意識に出ていた。俺の言葉を聞いて渉は真っ直ぐに俺を見る。数秒見つめ合い沈黙があった後、渉が口を開いた。


「…あぁ」


「柚は…病院に来た時、どんな様子だったんだ?」


「兎に角、翔真の事を心配していた。翔真との約束を守らないで、こんな時に付き添えなかった事を自分で責めていたようで取り乱していた。」


「そうか…」


「お前が目を覚ますまでの間、柚ちゃんは自分を責めて、色々な葛藤もあったと思う。悩んだり、苦しんだりしていて…俺達にできる限りのフォローはしたけど…そんなの気休めにしかならなかったかもしれないな…」




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