溺愛〜ラビリンス〜
俺がキッパリと意思を伝えると、渉の緊張感が和らいだようだった。
「…そうだな…そうだよな?お前達は昔から変わらない…そうやってきたんだもんな。翔真の覚悟を聞いて安心した。ここでぐらつくようだったら、またひと悶着あるだろうからな?」
渉はそう言って俺をじっと見る。そして少し戸惑ったように話しを続けた。
「…昨夜…悠斗にお前が目を覚ました事を連絡した。事故のあった日、悠斗と約束していたからな?」
渉の言葉に顔の筋肉がピクリとひきつったのが自分でも分かった。柚との事を聞かされた後でやはり冷静にその名前を聞く事はできなかった。
「…そうか」
「悠斗から…翔真の調子が良くなってからで良いから、会いたいって伝言だ…一応、翔真に伝えるとだけ返事をしておいた。」
渉は俺に伝えて決めさせる為、返事をしなかったんだろう。そして俺がどう返事するかも分かっているに違いない…
「分かった…もう少し良くなったら会う。時間をくれ。こんな無様な状態をアイツに見せられないからな。」
「分かった…悠斗にはそう伝えておく。」
渉はそれ以上何も言わなかった。