溺愛〜ラビリンス〜
ガラッ
そんな時、重い空気を裂くように病室のドアが開いた。
「ありがとう健人くん。重かったでしょ?」
「いや…これ位重くないよ。ユズ姫…俺男なんだからこんなの片手だって軽いよ。」
「フフッ…そうね。ブラックホークスの幹部が、花瓶重いって言ってたらおかしいよね。」
「まぁね…」
柚と健人が会話しながら病室に入って来た。途端に病室は賑やかになる。
「ユズ姫お帰り…」
俺がこの話しはもうお終いだと、凌に目で合図すると、察した凌は柚に声をかけた。凌の言葉に柚は視線をこちらに向けた。
「凌くんお帰りって言う程の距離を出掛けてないよ?」
柚はクスクス笑いながらそう返すと、健人に視線を戻した。
「健人くん花瓶そこに置いて。」
「あぁ。」
健人は柚の指示したベッドの傍の花瓶を置いた。
「ありがとう健人くん。」
「どう致しまして。」
柚の持って来てくれた花は赤やオレンジの華やかな色の花にカスミ草が添えられていた。
暖か味のある色合いの花達は、柚が元気づけようとしてくれている気持ちが伝わってくる。