ツンデレ社長の甘い求愛
「わかりました、社長があまりに不憫なのでお供いたします」

普通にOKするのが癪で皮肉たっぷりに言えば、社長は眉間に皺を寄せた。

「ほら、前進んだぞ」

私にお礼を言うのが嫌なようで、完全スルーし先に足を進める社長。

社長って傲慢な人だけど、本当はただの素直になれない人なのかもしれない。

仕事柄? それともただの性格?

なにはともあれ、ちょっぴり傲慢社長の意外な一面を知れて、怒りは沸き起こることなく、むしろニヤけてしまう。


威圧的な態度で社員たちに恐怖を与えているけれど、仕事に対しては真義に向き合っている人。

上司としては尊敬できる人。

それプラス年上の男のくせに、子供じみた一面を持っている人――。

きっと知っているのはごく少数なはず。

そう思うと特別感みたいなものが膨れ上がり、だめだ。

やっぱりニヤニヤが止まらない。


口元を押さえながら私も前に進み、社長の隣で立ち止まると、なぜか痛いくらいの視線が隣からヒシヒシと感じた。

チラッと見れば視線を送っている相手はもちろん社長で、汚いものでも見るような目を向けられている。
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