ツンデレ社長の甘い求愛
もちろんただの建前上の謝罪だ。
本心であるわけがない。

日頃の恨みと、今日付き合わせられた仕返しとばかりに、わざとらしくオーバーに謝ってみる。

だがしかし、私の読みは甘かったようだ。

社長は悔しそうに唇を噛みしめる……なんて素振りは見せず、まるで私の嘘を見破っているかのようにあざ笑った。


「それは愚問だな。悪いが俺にも大切だと思える相手くらいいるから」

「…………え」

黙らせるつもりが、こっちが騙されてしまった。

だって想像できる? 社長に恋人がいるなんて。

ポカンと口を開けたままガン見してしまっていると、社長は我慢できなくなったように「ぷっ」と噴き出した。


「なんだよ、その顔は。俺には仕事だけだと思っていたのか?」

「いえ、そういうわけでは……」

言葉を濁してしまったのは、まさに図星だったから。
< 104 / 347 >

この作品をシェア

pagetop