ツンデレ社長の甘い求愛
それはしっかり社長に伝わってしまっていたようで、深く息を漏らした。

「失礼な奴だな。……俺にだっているさ、誰よりも愛しくてかけがえのない存在くらい」

呼吸するのも忘れるくらい、社長に釘づけになってしまった。

だってなに? 今の社長の顔は。

その相手を思っているのか、優しい顔をしちゃって。


初めて見た。目を細めて愛しい人を想像しちゃっているような甘い顔を。

傲慢で嫌な人でも、好きな人を想像しただけでこんな顔できちゃうんだ。


予想外過ぎてボーっと社長を見つめてしまっていると、私の視線に気づいたのか社長はハッとし小さく咳払いをした。

「だから今後、そういった余計な世話はするなよな」

「……は、い」

なにこれ。今度は照れているのだろうか。

意外すぎて、視線が逸らせない。

そして気になるばかりだった。

社長をこんな顔にさせちゃう相手って、どんな人なのだろうかと。

気になり出すと止まらなくなる。

けれどさすがに「どんな人なんですか?」なんて無粋な質問はできるはずなどない。
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