ツンデレ社長の甘い求愛
「けれど恋愛ってそういうものじゃないの? 本気になっちゃったら周りなんて見えないわよ。でもかすみちゃんは大丈夫。だって隣の彼はかすみちゃんを、まるごと愛してくれる人なんでしょ?」


得意気な顔で私に問い掛けてくる由美ちゃんに、気恥ずかしさを覚えながらも頷くと、彼女はにっこり微笑んだ。


「それなら安心! 第一お互い他人が出会って恋するんだから、最初はなにも知らなくて当然! 大切なのはインスピレーションだと思うよ。いいなって思えたら徐々に知っていけばいいんだから」


なんて説得力のある魔法の言葉だろうか。

自分の気持ちに自信がなくて、今さっきまで自己嫌悪に陥っていたというのに、由美ちゃんの話を聞いただけで、こんなにも気持ちが浮上できてしまうのだから。


「やっぱり由美ちゃんは人生経験重ねてきただけあるよね。言葉の重みが違う」

じんわり感動してしまっている私の前で、由美ちゃんの眉がピクッと動いた。

「ちょっとかすみちゃん? それは私がおばさんだからって言いたいのかしら?」

「えっ! いやいや! 違うから!!」

慌てて両手を振って弁解を続けた。

「私も由美ちゃんのように人生経験積んで、カッコイイ大人の女性になりたいってこと! それで若い子に由美ちゃんのように諭してあげたい」

今の私にはそんな器、まったくないし。
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