ツンデレ社長の甘い求愛
とんでもない噂が流れてしまいました
心地よいぬくもりに包まれて幸せな気持ちで満たされている。

ずっとこのままでいたいと切に願ってしまうほどに――。

けれどそんな願いも虚しく、いつものようにカイくんの鳴き声が耳に届いてきた。


「んっ……ちょっと待ってて」

まどろむ意識の中、どうにか瞼を開け起き上がろうとしたけれど、なぜか身体の自由がきかない。

そして私の視界を遮るもの――。え、なにこれ。


覚醒し切っていない頭をフル回転している間も、カイくんの鳴き声が……ん？　ちょっと鳴き声が違う気が……。


「ん……もう朝か」

不意に頭上から擦れた低い声が聞こえてきた瞬間、一気に記憶が呼び起こされていく。


そっ、そうだった！　私昨日……！

抱きしめられていた腕の力は弱まっていき、恐る恐る顔を上げていくと、瞬きせずに私をガン見する社長と至近距離で目が合った。


うん……そんな顔になっちゃいますよね。

どう説明するべきか分からない。

しかもこのまま密着したままの状況には耐え切れず、おずおずと起き上がり微動だにしない社長に頭を下げた。
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