ツンデレ社長の甘い求愛
「えっと……おはようございます」

乱れてしまった髪を整えながら言うと、社長は勢いよくベッドから起き上がった。


「どうして馬場がここにっ……!?」

声を張り上げる社長に、居たたまれない気持ちになっていく。


どうして昨夜、あのまま寝てしまった!

少ししたらどうにか腕の中から抜けて、そっと家を出ようとしていたはずなのに。


けれどいくら後悔しても後の祭り。

とにかく困惑している社長に事の経緯を話していった。



「……悪かった」

「いいえ、そんな頭を上げて下さい」


場所をリビングに移し、話している最中から社長は耐え切れないように顔を背けてしまい、全てを話し終えると深く頭を下げ謝罪してきた。

「本当に悪かった」

一向に社長は頭を上げることなく、謝罪の言葉を繰り返す。


そんなに謝れてしまうと、逆にこっちが申し訳ない気持ちになってしまうよ。

だって本当は私、帰ろうと思えば帰れたから。


もう少し社長の腕の中にいたいって気持ちが優先しちゃって、気づいたら寝ていたとか……こんなこと、口が裂けても言えない。

だから謝れてしまうと、私も困る。
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